楡周平著「いいね!」が社会を破壊するを読んで思ったこと。
僕はこの本で言われるところの「いいね!」側の人なんで、ぶっちゃけ敵情視察のつもりで購入
楡周平はコダックにお勤めだった方のようで、本著はまずコダックがなぜチャプターイレブン(会社更生法の適用申請)に至ったのかから始まります。
コダックは銀塩フィルムの世界ではとても利益率の高い商売をされていたようですが、急激に進んだデジタル化の波に翻弄されていった。
コダック自体は、デジタルカメラも作ったり結構先進的な事をされていましたが、銀塩写真で構築されてしまった巨大なマーケット、例えば町の写真館とか現像所の既存のビジネスモデルを一緒に変えていく事はできず
日本ではまだ顕著ではない感じですが、米国ではAmazonが書店をどんどん潰している
大型家電量販店が町の電気屋さんを、大型ショッピングセンター、ショッピングモールが商店街や小さなスーパーを...
本著は、IT化、大型化によるパラダイムシフトで、既存ビジネスが潰れていき、そこで働いていた人たちが仕事をなくていっていることに警鐘を鳴らしている本です。
著者もあとがきで認めているのですが、本著の残念なところはこれはヤバイぞと警鐘を鳴らしているだけで、解決策の提案みたいなものが全くないんですよね。
酷い言い方すると「愚痴」しか書かれてないんですよ。
じゃあ、IT化、オートメーション化、大型化は、本著でいうような「悪」なんでしょうかね?
既存ビジネスは、死なないように保護しないとアカンのでしょうか?
グーテンベルクが活版印刷を発明した時も強い抵抗があり、なかなか社会に受け入れられず、その普及には約100年かかったそうですが、最終的には新しいものには逆らえず変わっていってしまいます。
過去は、そのペースがゆっくりでしたが、現在はあっという間に「コダック」クラスの会社が潰れていくほど、あっという間に変化が起きます
結局、逆らっても無駄なのでしたら、其の流れにどうやって乗るのかを模索していくほうが早いのではないのでしょうかね?
とはいうものの、ある産業で働いていた方が、突然明日から全く別の技能が要求される別の仕事に就くってそう簡単ではないでしょう
以前、ライフネット生命の出口治明氏の講演で、この辺りのことを質問させてもらったことがあります。
IT化により省力化してしまうことで、人々の仕事を奪うことになるんじゃないか?と聞いてみると、
出口氏は、もっとIT化すべきだと仰っていました。
例えば過疎の村のような人出が足りない地域などは沢山ある。
各産業の省力化をもっと計って、人手が足りない産業に人を回していくべきだと言われていました。
出口氏が言われていた事は、とても難しいとも思いますが、確かに労働力を足りない処に回していくしかないんだろうなと納得しました。
官僚、行政マン、政治家の人たちには、既存の産業を保護する方向ではなくて、新しい産業を作る、人手が足りない産業にいかに労働力を回していくかを是非とも積極的に考えて欲しいなって思います。
各産業毎に縦割りで物事をみていると、例えば農業人口が減っていてヤバイからみたいな話になってしまいますが、
日本全体で総雇用をどのように確保していくのかというマクロな視点が先にあるべきなんじゃないでしょうか
物事を縦にしかみるのではなく、もっと横方法でみる必要があると思います。
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